復興支援寄席に行く2011/05/15 20:50

池袋演芸場にて
池袋演芸場にて posted by (C)Yongyi

先の大震災に関連して、(社)落語協会では4月から「復興支援寄席」と銘打ったチャリティーイベントを開催しています。

このイベントは、木戸銭(入場料)をそのまま全額義援金に寄付すると言う、何とも豪儀な企画。

これには落語好きの端くれとして、1回は出かけて活動に協力しようと、協会のサイトで番組をチェックしていたところ、『じっくり技巧派』と題し「小はん、小満ん、小燕枝、今松」と言う、何とも渋い顔付きの落語会が目に留まり、行動予定に組み込んでおいたので、この週末は2日続けて落語会に出かけることになりました。

前日の落語会で、既に復興支援寄席に出かけた人から、「結構混むよ」と聞かされていたので、ある程度は覚悟の上で開演1時間前に会場の池袋演芸場に到着。やはり既に20人近い人が列を作っていました。

程なく復興支援寄席実行委員長の三遊亭圓丈師をはじめ大勢の噺家さんが街頭に出て、募金活動を始めていました。

お客さんの列も順調に伸びて、開場40分ほど前には6・70人は並んでいたでしょうか。

9時半前に開場となり、前から2列目のほぼ中央の席を確保。その後もお客さんが続々と入場し、開演直前にちょうど満席の状態になりました。

普段の寄席とは違い、前座さんによる開口一番はなく時間通り10時開演で、むかし家今松師の高座から始まりました。

第8回 落語協会復興支援寄席『じっくり技巧派』

 むかし家 今松 「壺算」
 柳亭 小柳枝 「万金丹」
 柳家 小満ん 「しびん」
 柳家 小はん 「親子酒」

1時間半で4人の噺家さん、1人当たりの持ち時間が20分強と比較的余裕があるためか、今松師の「壺算」、ゆったりとした感じで演じていたように思います。

兄貴分の巧妙な口車に乗せられて、瀬戸物屋の主人同様、聴いている我々も、ついついその気にさせられてしまう見事な口演でした。

続く小燕枝師の「万金丹」。今年1月の黒門亭 土曜・一部で聴いたのと同じでしたが、旅人(=インチキ坊主)2人の威勢のいい江戸っ子の語り口調は、何度聴いても良いものです。

3人目の小満ん師の「しびん」は初めて聴く噺。田舎侍がのんびり「しびん」に花をいける所作は、目の前に本当に生け花があるかと思わせる素晴らしさ、またそれとは対照的に、道具屋を叱りつける厳しい演技など、小満ん師ならではの聴きどころ満載の一席でした。

トリは小はん師。以前末廣亭で「船徳」を演じていた時は、(師匠には大変失礼ですが)若い船頭さんが良いなぁと思っていたのですが、今回の親子酒の親父さんはまさにハマリ役と言った感じ。

ところどころで現代的なクスグリを挟んだり、おかみさんに向かって「屋根の鬼瓦だって雪化粧すりゃちっとは綺麗に見えるもんだ」と言ってみたり、おなじみの噺ながらも客を飽きさせない辺りは流石と思わせます。

いつもならば、寄席がハネてオモテに出ると辺りは暗くなっているのですが、復興支援寄席は昼の11時半に終了。

まだお日様が高いうちに寄席を後にするのはちょっと変な気分でしたが、池袋演芸場を出た足で池袋駅をくぐり東口へ出て「宮城ふるさとプラザ」のレストラン「伊達の牛たん本舗」で昼飯を食べた後、お茶菓子に「萩の月」を、晩酌の肴に「笹かまぼこ」を購入して帰宅の途につきました。

『じっくり技巧派』のタイトルに偽りなし。それぞれ素晴らしい芸を披露していただき、これで木戸銭1,000円ですから、また同様の番組があれば、ぜひ足を運んでみたいと思いました。

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