映画『インターミッション』を観る2013/03/20 22:06

INTERMISSION
INTERMISSION posted by (C)Yongyi

銀座にある名画座「銀座シネパトス」が今月いっぱいで閉館になると去年からニュースになっていて、またこの映画館を舞台にした作品「インターミッション」が最後の上映作品と言うことで、記念に観ておこうと出かけて来ました。

昭和通りの三原橋の下にある映画館を知ったのは7年前ですが、ここで映画を観たのは今日を含めてもわずかに3回のみと、本当に僅かのお付き合いしかないのが残念ではありますが、歴史ある映画館の最後にかろうじて滑りこむ事が出来たのは幸いでした。

作品は先の東日本大震災によって耐震性に問題があるとして、東京都から指摘を受け閉館が決まった映画館にやってくる観客が主人公。ロケ地は銀座シネパトスと三原橋地下街だけというのが特徴。

オープニングのピアノの美しい曲をバックにした見事なスチール写真が印象的です。そして作品が始まって間もなく、映画の中から地下鉄の走行音がしてくると共に字幕スーパーでこの騒音についてのコメントがあるのが笑えます。

一癖も二癖もあるお客さんの中ではやはり竹中直人さんの演技、映画館の並びにある「三原」さんのご主人との掛け合いは最高でした。

この他にも大女優の香川京子さんを始め多数出演されていたのですが、古い映画ばかり観ているせいで特に若手の俳優さんが全く分からなかったのと、往年の俳優さんでも後でパンフレットを読んで初めてわかった人がほとんどだったのが残念でした。

それとこれも後でパンフレットを読んで分かったのですが、作品の中に名作映画のパロディーをかなり盛り込んでいたようですね。

映画の知識がもう少しあればそういうのも楽しめたんでしょうが、まだまだダメですね。(尤も映画の中で紹介される映画のタイトルは、相当マニアックなものばかりで、「こういう映画を観た(知っている)俺って凄いだろう」と思わせる雰囲気があったのは、ちょっと鼻につきましたが)

閉館記念の作品として、製作者を始め出演者も楽しんで作っている雰囲気はあったのですが、一つ疑問に思ったのは作品の中で結構な頻度で「放射能」「反原発」のセリフが出てきたことでしょうか。

確かに現代を語る上では、これらのセリフもありかと思いますが、閉館理由は耐震問題であって放射能や原発は直接関係ないんじゃないか?と言うのが私の意見です。

軽く触れるだけならまだしも、折角のお祭り映画に何か中途半端に政治色が出てしまった点は残念に思いました。

何れにしても閉館まであと10日余り。まだまだいろいろなアトラクションが用意されているようです。お時間のある方は出掛けてみてはいかがでしょうか?

銀座シネパトス
銀座シネパトス posted by (C)Yongyi

「ウエスト・サイド物語」を観る・聴く2012/09/21 22:20

東京国際フォーラムにて
東京国際フォーラムにて posted by (C)Yongyi

サイクルイベントの申し込みのため登録している「スポーツエントリー」からは、時折スポーツイベント以外の催し物情報が配信されて来ます。

大抵はあまり興味のない催し物なのですが、今月初めに送られてきたメールは、ミュージカル「ウエスト・サイド物語」と題され、「映画上映50周年を祝うべく、世界各公演地の最高のオーケストラがレナード・バーンスタインによる感動的なオーケストラ用スコア、そしてスティーブン・ソンドハイムによる曲を生演奏し、最新鋭のスクリーンで新しくリマスターされた映画が上映され、生のオーケストラにオリジナルの音声と台詞が生き返ります。(メール本文より引用)」と書かれ、更にオーケストラの指揮者が作曲者:レナード・バーンスタインの愛弟子で、現在脂が乗りに乗っている佐渡裕氏とあっては、否が応でも興味を掻き立てられ、「これは聴かずにはいられない」と早速チケットを購入して、会場の有楽町・東京国際フォーラムへ出かけました。

東京国際フォーラムへは、昨年夏の東日本の文化復興支援プロジェクト「ARK NOVA - A Tribute to Higashi Nihon~東日本への贈りもの~」以来1年ぶりです。

開場してホールに入ると、ステージ上には数名のオーケストラ団員が最後の調整をやっている最中で、その背後には巨大なスクリーンが設置され、有名なソウル・バスデザインのマンハッタンの鳥瞰図が映し出されていました。また客席中央には、カメラやモニター、ミキサーなど数多くの機器が設置されていました。

東京国際フォーラムにて
東京国際フォーラムにて posted by (C)Yongyi

開演時刻になり、指揮者の佐渡氏が舞台挨拶で登場。映画が公開された1961年は興味深い年であると話し始めました。

話によると、この年は佐渡氏の師匠:レナード・バーンスタインが、アシスタントに小澤征爾氏を伴って来日した年であると共に、佐渡氏自身が生まれた年と説明すると会場からは拍手が。この日の昼間、1回目の公演を行ない成功を収めたとの報告もあり、ますます期待が高まります。

佐渡氏は挨拶を終えて一旦楽屋に戻り、入れ替わりに楽団員が入場してチューニングが終了し場内が暗くなると、再び登場し指揮台に上がり耳にヘッドホンを装着して上映開始です。

実際に音が聴こえるまでは、どんな感じになるのか疑問に感じていましたが、映画とほとんど変わりなく、最初は映画のサウンドトラックがそのまま流れているのか?と勘違いするほど違和感なく自然に聴こえたのには驚きました。

また、どうやって映像とシンクロさせるのかも疑問に思っていましたが、客席中央のモニタや指揮者の譜面台を見ると、それぞれのモニターにスクリーンと同じ映像が映し出されて、映像の上に左から右へ移動する縦線や、時折◯が点滅していることに気が付きました。

休憩時間にスタッフの方に伺うと、モニターの縦線と指揮者のヘッドホンの視覚・聴覚でタイミングを合わせているのだそうです。(ゲームセンターにある太鼓を叩く遊具の様な感じ?)

今日は映像の方に集中していたため、指揮者やオーケストラの奮闘ぶりはあまり見られませんでしたが、2時間半以上映像に合わせて演奏を続けるのは、普通のコンサートより遥かに大変だったろうと推察します。

残念ながら「マンボ」や「マリア」の冒頭では、若干ズレが発生してしまいましたが、それでも即座に修正したのは、流石にプロの面目躍如と言ったところでしょう。

会場いっぱいの来場者もこの作品を知り尽くした人達が多く、楽曲の終わり毎に入れる拍手のタイミングを心得ているのは流石でした。

10時過ぎに無事終演。ひと仕事終えた佐渡氏の感動にむせぶ顔がアップになって、会場の熱気は最高潮に盛り上がり、スタンディングオベーションが起こりましたが、この日は本当に良い体験が出来ました。

次回同様のコンサートが開催される機会があれば、ぜひまた聴きに(観に)来たいと思わずにはいられません。

世界の映画史に残る素晴らしい作品を制作した半世紀前の関係者はもちろん、今回の巨大なプロジェクトに関係された皆様に感謝を申し上げます。

「幕末太陽傳」を観る2012/01/07 17:18

「幕末太陽傳」チラシ

今年(2012年)は、日本最古の映画会社・日活の創立100年にあたり、それを記念して昨秋からかつての名作をDVDで発売開始しましたが、その中に人気投票で常に上位にランキングされている「幕末太陽傳(1957年)」がラインナップされていないことを不思議に思い、その事をTwitterでつぶやいたところ、すかさず日活100周年実行委員会さんから「幕末太陽傳は現在デジタル修復中で、年末に劇場公開予定です」と返事が来ました。

以前この作品がケーブルテレビで放映された時、録画して何度か観たことはありますが、修復されて劇場公開されるとなれば、ぜひ大画面で観てみたいと思い、前売り券を購入して今日新宿のテアトル新宿へ出かけてきました。

テアトル新宿で映画を観るのは、チャップリンの作品の日本国内における上映権が切れる直前(1986年)に、特集を組んで上映した時以来ですから、四半世紀ぶりになります。

さて、作品については既に多くの方が賛辞を述べている通り、日本映画黄金期の屈指の痛快娯楽作品であり、主演のフランキー堺演じるところの「佐平次」がとにかく素晴らしいです。

喜劇役者としてのフランキー堺は、これまでにも「牛乳屋フランキー」や「ラーメン大使」、「喜劇とんかつ一代」、「君も出世ができる」などを観てきましたけれども、正直今ひとつ面白いと感じたことはなかったのですが、この「幕末ー」だけは別。フランキー堺以外に考えられないはまり役。

落語の世界から抜け出てきたかのような台詞回し、スクリーンを文字通り縦横無尽に走りまわり、機転を利かせ様々な難問を越えてしぶとく生きる姿がなんとも言えません。

印象に残るのは、品川沖の船上で高杉晋作(石原裕次郎)に、

「どうせ旦那方、百姓町人から絞り上げたお上の金で、やれ攘夷の勤皇のと騒ぎまわっていればそれで済むだろうが、こちとら町人はそうはいかねぇんだぃ!」
 「てめぇ一人の才覚で世渡りするからには、へへっ首が飛んでも動いて見せまさぁ!」

と言い放つ啖呵が実に力強く、時代を越えて現代にも通じる感があります。

それにしても、今回のデジタル修復は見事なもので、古い映画にありがちな擦り傷などは綺麗に消され、明暗・コントラスト・音声も調整されているおかげで、半世紀以上も前に撮影されたものとは思えません。おかげで遊女(南田洋子・左幸子)の美しさも見事に表現されています。

ストーリー全体は古典落語「居残り佐平次」をベースに、複数の落語を見事に織りまぜていますから、落語を知っていれば「あぁこのシーンは「品川心中」だな、「三枚起請」だな」と分かって、そちらの方でも楽しめますが、もちろん落語を知らなくても十分楽しめること請け合いです。

この作品は映画館の大画面で鑑賞されることをお勧めしますが、そうでなくても近いうちにDVDで発売された暁には、ぜひご家庭でも楽しんでみてはと思います。

最後にこの映画のベースになっている落語の「居残り佐平次」のCDを。こちらは今は亡き不世出の名人:古今亭志ん朝師の明るく華のある口演。お求めやすい価格でおすすめです。

ROAD TO ROUBAIX2011/09/08 21:34

サイクルロードレースの世界 チラシ

節電休暇2日目。今日は市内中心部にある映画館「シネマまえばし」で上映中の自転車映画特集「サイクルロードレースの世界」の中から「ロード・トゥ・ルーベ(ROAD TO ROUBAIX '08米)」を観て、週末の「まえばし赤城山ヒルクライム」に挑む気分を高めて(?)来ました。

今度の日曜日のレース参加を証明すると、割引料金で観ることが出来る映画館の粋な計らいを利用しましたが、先日の鈴本演芸場と言い、最近はこの手のサービスばかり利用しています。

平日の昼間にもかかわらず数人の観客を見受けましたが、聞くとはなしに会話を聞いていると、「節電休暇で…」と話していましたし、今日の午後自動車会社に勤務している友人から私信が届いたので、私と同様節電休みの会社は多いのかも?

さて映画は、ヨーロッパの数あるワンデーレースの中でも特に人気の高い「パリ~ルーベ」の2007年のレースの模様と共に、過去の優勝者や出場者・関係者の「パリ~ルーベ」に寄せる思いを綴った71分の短編ドキュメンタリー作品です。

私がこのレースを始めて知ったのは、ダイエット目的でロードレーサーを購入した2002年、ヨハン・ムセウが優勝したレースでしたが、悪天候で全身泥だらけになりながら走る様子に釘付けになったのを思い出しました。

綺麗でスマートな印象の強い自転車レースですが、「パリ~ルーベ」はあくまでも泥臭く、必死にもがきながらゴールに向かう様子は、まさに「北の地獄」の異名がぴったりのレースです。

大会終了後のシャワールームの様子や、いにしえの写真が多数紹介されていて、大変興味深い作品でした。

2002年のレースはビデオテープに録画してあるものの、今となっては再生機器がないので見られないのが残念ですが、機会があればもう一度再生して見てみたいです。

「東京物語」を観る2011/08/18 20:32

シネマまえばし入り口
シネマまえばし入り口 posted by (C)Yongyi

早いもので帰省して1週間が経ちました。

赤城山へ3度も登ったし、空調の効いた実家でノンビリとさせてもらって、明日は東京へUターンですが、最後に1つ、帰省初日にも訪ねた「シネマまえばし」で上映中の「東京物語」(1953年:松竹大船)を観るため、朝一番にママチャリに乗って出かけてきました。

「東京物語」は今更言うまでもなく、名匠:小津安二郎監督の代表作のみならず、日本が世界に誇る映画作品の1つです。(作品概要はこちら

私がこの作品を初めて観たのはいつだったでしょう?生誕90周年の1993年に、渋谷で開催された東京国際映画祭における記念上映で、英語字幕付で上映された時には、すでに全体のストーリを知っていたので、20歳代の始め頃には数回観ていたでしょう。その後も映画館だけでなくTV・DVDで繰り返し観て、今では個々の場面やセリフを覚えてしまった程ですが、先日の「喜劇各駅停車」と同様、大画面であらためて観たいと思い出かけた次第です。

それにしても映画館で観るのと、家庭でDVDなどで観るのとでは印象がガラリと変わりますね。映画館独特の空間がそう感じさせるのかも知れません。

若い頃は評論家気取りではありませんが、やれ小津作品独特の様式美だの、台詞だのと細かいことばかり気にして観ていましたが、今日は今まで何気なく観ていたアパートでの紀子(原節子)ととみ(東山千栄子)の会話に、不覚にも目が潤んでしまいました。久しぶりの鑑賞で私も歳をとったからでしょうか。

いずれにしても「小津作品のある国に生まれてよかったなぁ」と、しみじみ感じた2時間余りでした。

12時45分終映。昼食は「シネマまえばし」から馬場川沿いに西に少し行った所にある、以前から気になっていた洋食屋「西洋亭・市」。

西洋亭・市
西洋亭・市 posted by (C)Yongyi

こちらは「ソースカツ丼」発祥の地の1つと言われています(諸説あり)。もちろん注文したのは元祖ソースカツ丼(味噌汁・お新香付650円)。

元祖ソースカツ丼
元祖ソースカツ丼 posted by (C)Yongyi

程なく運ばれて来たソースカツ丼は、見た目が薄くて最初はハムカツか?と思ってしまうほどでしたが、後で知ったのですが薄い肉が何層か重なっているそうですね。

量が適度で、大変おいしゅうございました。

帰宅後はのんびりUターンの準備にとりかかりました。

お盆休み初日2011/08/12 22:22

シネマまえばしにて
シネマまえばしにて posted by (C)Yongyi

今日からお盆休みに突入です。

空調のない東京のアパートで、暑さに耐えながら篭っていても、日がな一日パソコンばかり眺めていて仕方がないですし、お三度や洗濯の手間を省くため、そして来月に迫った「まえばし赤城山ヒルクライム」のトレーニングのために、早朝電車に乗って帰省しました。

武蔵野線から乗り換えなしで大宮駅まで行けて便利な「むさしの号」が若干遅れたため、高崎線の下り電車に乗り遅れて前途が危ぶまれましたが、予定よりも30分遅れで前橋に到着。

前橋でのお盆休み初日は、まず市内中心部にある映画館「シネマまえばし」で、足尾鐵道(わたらせ渓谷鐵道)100年記念として上映中の「喜劇 各駅停車(1965年:東京映画)」を観ること。

「シネマまえばし」は県外からの来場者には「たび割」サービスがあるので1回1,000円で楽しめます。

鉄分」が一般の人よりも若干多めの私が子供の頃、数年に1度の頻度でTVで放送されていて、その度に観たりカセットテープに音声を録音して(当時は家庭用VTRが普及していなかったので)繰り返し聞いていたため、今でもセリフの一言一句を覚えていますし、ケーブルテレビを契約していた数年前には「日本映画専門チャンネル」で放送されていたのをDVD録画したのですが、やはり大画面でもう一度観ておきたいと出かけたわけです。

さて映画は、旧国鉄足尾線を中心に、旧高崎第一機関区を舞台にしていて、鉄道マニアには堪らないシーンの連続ですし、出演者も主人公に森繁久彌・女房役に森光子・機関助手役に三木のり平・飲み屋の女将に岡田茉莉子・助役に山茶花究・名古屋章・左卜全などなど、往年の喜劇役者が勢揃いです。チョイ役で石井伊吉(現:毒蝮三太夫)が登場しているのも注目です。

2009年に森繁久彌氏が亡くなられた時に、追悼番組で放送されないものかと思っていましたが、結局実現しなかったですし、DVD化も当分見込みないですかね。

それはともかく、涼しい映画館でしばし懐かしい映画を楽しませてもらいました。「シネマまえばし」には帰省期間中もう1度映画を観に行く予定です。

小津安二郎に憧れて2011/06/19 11:39

小津安二郎(講談社 季刊誌「考える人」2007年冬号)

今から20年ほど前、'90年代のはじめ頃は、雑誌ぴあを片手に映画館、特に名画座へ出かけることが多く、好んで観ていたのは昭和30年前後、日本映画の黄金期の作品でした。

特に1993年は、名匠・小津安二郎(1903-1963)監督の生誕90年と没後30年に当たり、記念の上映会が多く、いわゆる「紀子三部作」などは会社を休んでまでも観に行ったり、命日近くの休日に鎌倉の円覚寺へ墓参に出かけたものです。

小津作品の素晴らしさについては、今更論じるまでもありませんが、映画もさることながら私が影響を受けたのは、監督のこだわりのある作風やライフスタイル。

監督と同じように映像の何処かに赤を1点入れてみたり、写真フィルムはAGFAと決めたりと、大いに真似をさせてもらったものです。

同じように真似をしたのがファッション。特に監督のトレードマークとも言える、白いワイシャツとピケ帽姿に憧れ、帽子を探して銀座のトラヤ帽子店を始めとした有名店を訪ね歩きましたが、結局ピケ帽は手に入れることは出来ず、似たような形のメトロハットを、渋谷・宮益坂上の山田帽子店で購入して何処へ行くにも被っていました。

薄手の生地で出来ていたためか、10年近く被ったり洗濯を繰り返していたら、ボロボロになって破れてしまったので、その後はサハリハットやハンチングなどを被っていましたが、最近になって再びあのメトロハットを思い出し、何処かに売っていないものかとネットで探したところ、当時と同じボルサリーノ(ライセンス品)のメトロハットがネットショップで売られていたので、以前と同じ明るいグレーを選択し、ポチって購入しました。

今年の夏は、この帽子を被り小津監督を気取って(と言いたいところですが、到底足元にも及びません)あちこち出掛けてみたいと思います。

メトロハット
メトロハット posted by (C)Yongyi

シネマ落語を観に行く22011/05/21 21:54

シネマ落語チラシ

先週末TBSラジオを聴いていたら、昨年末に公開された「シネマ落語」の第2弾が公開されると報じていたので、公開初日の今日東銀座の東劇へ出かけてきました。

スクリーンで観る高座・シネマ落語第2弾「落語研究会 昭和の名人弐」

 古今亭 志ん朝 「船徳」(昭和58年収録)
 金原亭 馬生 「臆病源兵衛」(昭和54年収録)
 三遊亭 圓生 「引越しの夢」(昭和45年収録)
 林家 正蔵 「中村仲蔵」(昭和47年収録)

個々の感想については、私のような素人が云々するのもはばかれるので略しますが、映像にしろ音声にしろ、このような高座の記録保存は大切なことと感じる一方、現代の噺家さんにとっては脅威に感じるかも知れませんね。

特にトリを観ていて、こ○平師に正蔵の大名跡はやはり大きすぎたんじゃないかなぁと思いますし、圓生を誰が継ぐかなんて問題も、もぅ「止め名」で十分じゃないかと思いますよ。

ところで、客席の入り口で配っていたアンケート用紙の下の方に自由記述欄があったので、「落語研究会のDVDは総じて高額なので、せめて前回・今回上映した分のDVD化は出来ないか」と要望を出しておきました。

昨日のニュースから2011/05/20 07:54

「ミツバチの羽音と地球の回転」プログラム

今月初め、帰省先の映画館「シネマまえばし」で観たドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」で採り上げられていた、中国電力上関原発の建設について、昨日山口県知事が、予定地の公有水面埋め立て免許の更新を認めない方向に、方針を転換したとのニュースが飛び込んできた。

福島第1原発:山口県、上関原発埋め立て延長認めぬ方向に
 毎日新聞 2011年5月19日 2時30分(最終更新 5月19日 8時44分)

中国電力が山口県上関(かみのせき)町に計画中の上関原子力発電所について、同県の二井関成(にいせきなり)知事は、予定地の公有水面埋め立て免許の延長を認めない方向で検討に入った。福島第1原発事故で原発の安全性が問われ、国による原子炉設置許可の見通しが不透明となったため。免許は来年10月に失効するが、再免許は原発に関する国の新たな安全指針が策定された段階で判断する意向。中国電力は計画の大幅変更を迫られる可能性が出てきた。(後略)

建設の完全撤退まで、まだまだ予断は許さないだろうが、それでも映画に登場した「祝島」の人たちなど、長年建設反対を訴えてきた関係者の苦労も、一歩前進ひとまず報われたことと思う。

先の大震災以来、いっこうに事態収束の糸口が見えない福島の原発事故を考えれば、この時期に積極的に原発の誘致や建設を検討している自治体関係者は、それこそ猛烈に非難を受けて然るべきだろう。

今回の方針転換は至極当然の事で、喜ぶべき事と思うのだが、一方でそれもこれも福島の原発事故があったからと思うと、(上手く表現できないが)何か手放しで喜べない複雑な気持ちになっているのも事実ではある。

「ミツバチの羽音と地球の回転」を観る2011/05/01 23:34

シネマまえばし入口
シネマまえばし入口 posted by (C)Yongyi

午後、前橋市の中心街にある名画座映画館「シネマまえばし」で上映中のドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を観てきました。

先日観に行った「100,000年後の安全」と同じく、原子力問題を扱ったドキュメンタリー映画で、先の震災による原発事故発生のこの時期、あらためて日本の原子力問題を考えてみる機会と思い、ちょうど帰省先で上映中だったので出かけた次第です。

舞台は日本の瀬戸内海に浮かぶ小さな島「祝島」。この島の近くに建設を計画している原子力発電所に反対する島民が主人公です。

映画を観て一番印象深かったのが、中国電力の社員が島民に船上からスピーカーを使って言った「皆さんが心配しておられるような、海が壊れるようなことは絶対にありません。絶対と言ってもいいほど壊れません」というセリフ。

福島の原発事故でやむを得ない処置とは言え、大量の放射能を含む排水を海に流した事実を知った上でこのセリフを聞くと、中国電力の説得が何とも説得力のない空虚なものに聞こえてしまいます。観客からも思わず失笑が漏れていました。

また、スウェーデンの自然エネルギーを活用した自治体の実例も紹介されていましたが、何人もの人が日本の電力が一握りの会社に独占されて、自由化されていないことに驚きの声を発していたのも印象に残っています。

かく言う私も、電気は普通に東電から買うことに、なんの疑問も持たずに40数年間生きてきた訳で、この点ではもっと世界の電力事情を知る必要があると感じました。

日本も今からでも遅くないから、もっとクリーンなエネルギーを活用した発電を、消費者が自由に選択できる方向に推進して行かなくてはならないのでは、と作品を観ながら考えてしまいました。

「100,000年後の安全」同様、非常にタイムリーで、どちらもぜひ多くの方に観ていただきたいと思う作品です。