紀伊國屋寄席を観る ― 2010/07/21 23:19
6月下旬に新宿通り沿いにある中古CDショップで買い物をしたついでに、隣の紀伊國屋書店を覗いたところ、掲示板に次回の「紀伊國屋寄席」の案内が掲示されているのが目に入り、トリが小三治師とあり、6月2回も末廣亭で観たにも関わらず、ネタ出しで「お茶汲み」と言うまだ聴いたことのない噺だったので、早速チケットを購入して今日に至りました。
6時開場のため、多少時間に余裕があるため、新宿駅東口のカレーで有名なお店の地下の喫茶店で軽く腹ごしらえをと思い入ってみました。結構趣きのある店内で、段違いになっているフロアや階段、そしてBGMでさりげなくクラシック音楽が流れているあたりは、黒澤明監督の映画「生きる」で主人公が生きる意味に気がつく喫茶店を彷彿とさせます。まぁ店内の雰囲気は良いのですが、それにしてもサンドイッチ如きでいい値段を取りますな。先日の飛行場とほぼ同じくらいの値段でした。
開演15分くらい前に4階のホールに入場。流石に400人超のホールとなると、前から18列目だと舞台がちょっと遠くに感じられますが、オペラグラスを使うほどでもない微妙な距離です。
―開口一番―
春風亭 朝呂久 「道灌」
柳家 初花 「悋気の独楽」
桂 小文治 「虱茶屋」
桂 文楽 「厩火事」
―仲入り―
立川 談幸 「水屋の富」
柳家 小三治 「お茶汲み」
開口一番の朝呂久さんは初めて。自己紹介と場内の整理を兼ねて「携帯電話の電源を切るように」との指示。この手の注意事項が出るようになってからもぅ相当な年月が経ちますが、未だに口演中に着信音を鳴らしてしまう輩がいるんですな。すごかったのは今年の冬に新宿末廣亭の最前列中央に座っていた爺は、落語の最中にもかかわらず、じっと携帯の画面を見続けていたこと。(横の桟敷席から眺めていたのでよく見えました)
芸協の小文治師もテレビでは一度拝見したことはありましたが、実際の寄席は初めて。演目の「虱茶屋」は余程得意としているのか、ネットで「虱茶屋」と検索すると小文治師の名前が相当数ヒットします。(中には動画もあったりします) 「虱茶屋」と言う噺を聴くのはこれが初めて。これはラジオやCDではその面白さが伝わってこない噺ですね。とにかく踊りが重要ですが、流石にあちこちで演じていらっしゃるためか、実に綺麗な踊りを披露していました。
仲入り前の文楽師。ネタが女性のヤキモチ(悋気)という点で、二つ目の初花さんとダブってしまい、マクラで相当悩んでいた様子でした。しかもネタの「厩火事」、2日前のNHKラジオ「真打ち競演」でも同じ噺を放送していたのを聞いていたので、正直新鮮味にかける高座でした。
さてトリの小三治師。いつもの通りマクラが長い!8時25分頃に高座に上がって、連日暑くて弱っていることから始まり、貰った図書券で大佛次郎の「天皇の世紀」(文庫本)を購入したいのだが入手出来ずに、都内のあちこちの書店を探し回っている話から、紀伊國屋書店のエスカレータの構造体には木材が使われているから今度「冷やかし」で来てご覧なさいと言った話になり、「冷やかし」の語源の説明をして8時55分頃ようやく噺に入りました。
噺は、遊廓における男と女の騙し合いを描いたもので、事前にネットであらすじを調べておいたので分かりやすく、オチも洒落ていて面白い噺でした。30分たっぷり演じて終わったのが9時25分頃。1時間ずっと喋りっぱなしだったんですな。凄いもんです。
6時半に始まり9時半終了。アッと言う間の3時間でした。
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