今年の物故者から ― 2010/12/21 18:34
毎年この時期になるとマスコミ等では「今年の物故者」と言う特集が組まれて、各界の故人となられた方を偲びますが、今年私が先ず思い浮かべた方は、俳優の小林桂樹氏(享年86歳)です。
同郷の先輩と言うことで親しみがあり(もちろんお会いしたことはありませんが)、主役から脇役まで張れる、昭和30年代の日本映画全盛期には欠かせない名優です。
数多く出演された作品の中でも私が一番好きなのは、我が国の地方における最初の職業オーケストラである「群馬交響楽団(群響)」の草創期を描いた、今井正監督の「ここに泉あり」(1955年)です。
群馬県に生まれ育った人間ならば、一度は群響の移動音楽教室を体験したことがあると思いますが、この作品で小林氏は、楽団のマネージャー「亀さん」の奮闘ぶりを演じています。
以前TVで放送されたのを録画し、何度も再生して観たので、シーン・セリフのひとつひとつまで覚えてしまったほどです。11月に池袋の新文芸坐で追悼特集をやった時は、映画館へ駆けつけて観ました。(余談ですが、この日上映開始を待つ列の中に、柳家喬之助師匠を見かけて二言三言お話をさせていただいたら、この映画館に入り浸っているのだとか)
その他に好きな作品は、一般人よりも「鉄分」が若干(?)多い私には、石田勝心監督の「父ちゃんのポーが聞こえる」(1971年)が忘れられません。
不治の病に侵された娘を持つ父親を演じていて、後半は涙なくしては観られない作品です。共演の藤岡琢也氏の演技も泣かせます。
さて、落語も好きな私にとっては古今亭志ん五師匠(享年61歳)も思い浮かびます。
背が高くほっそりとした独特の風貌が、子供の頃からなんとなく記憶の片隅にあって、一度は高座で拝聴したいと思っていましたが、その望みが叶ったのは、去年10月の新宿末廣亭で、その時は「幇間腹」を演じていたのですが、結局それが最初で最後でした。
故志ん朝師匠の一番弟子として、これから更に円熟味が増した高座を聴きたかったのに、早世されて残念でなりません。
今日から(社)落語協会の「インターネット落語会」、先週・今週はフジテレビのポッドキャスト「お台場寄席」で、志ん五師匠の追悼特集として過去の映像・音源が配信されていることからも、多くの人から惜しまれつつ亡くなられた噺家さんだったことが伺えます。(いずれも期間限定です。お早めにご視聴下さい!)
この他、作詞家のH氏(私が住む市の名誉市民)を始め、様々な方がお亡くなりになりました。改めて故人のご冥福をお祈り申し上げます。
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