笑い納め ― 2010/12/29 22:53
今日は仕事納めで半ドン。今年の夏以降はいろいろあったけど、なんとかこの一年無事乗り切りました。自分へのご褒美(と言うほど大げさなものではないですが)と、一年の憂さを笑いで吹き飛ばそうと、仕事が引けてからへ新宿末廣亭へ向かいました。
既に12月下席は終了していますが、今日は特別興行・特選余一会として、「さん喬・権太楼二人会」が開催されました。
昨年もこの会を聴きたいと思い、前売り券発売当日の朝10時きっかりにインターネットでチケット予約をしようとしたのですが、発売開始直後1分程度で完売してしまい、あまりの人気の高さに「こりゃ私の参加する余地はないな」と早々に諦めて、その年はそれっきりになってしまいましたが、やはり今年は聴きたい、特に秋以降休演されていた権太楼師の復帰ぶりが気になって、長時間並ぶのも厭わない覚悟で末廣亭の窓口脇に並びました。
この日の演目は下記の通り。
新宿末廣亭特別興行 年忘れ特選余一会 さん喬・権太楼二人会
−開口一番−
柳家 さん市 「金明竹」
柳家 小んぶ 「初天神」
柳家 小権太 「のめる」
柳家 さん喬 「中村仲蔵」
柳家 権太楼 「井戸の茶碗」
−仲入り−
三増 紋之助 曲ごま
柳家 さん喬・柳家 権太楼 「座談会」
「文七元結」(リレー形式による)
柳家 さん喬(上)
柳家 権太楼(下)
心配していた権太楼師は、マクラで秋以降の事についてチョット触れていました。夏の圓朝まつりの会場で間近に拝見した時、既に顔がかなり痩せこけていて気になっていましたが、今日2階席から拝見した限りでは以前のように丸々とした顔立ちに戻って、後の座談会でさん喬師もおっしゃられていたように声がよく通るようになり(酒を絶ったそうです)、本当に安心しました。
「井戸の茶碗」のチョットキレ気味な正直清兵衛さんも、権太楼師ならではの調子が戻ってきたと思い、楽しく拝聴しまいた。
順番が逆になりましたが、さん喬師の「中村仲蔵」。本当はトリにやる予定だったそうですが、急遽順番を入れ替えて演じました。
仲蔵が蕎麦屋で見かけた侍をヒントに、舞台で斧定九郎を演じる場面は実に様子が良かったです。この噺は、以前YouTubeで先代正蔵師匠が演じているのを観て、いい噺だなぁ実演で聴きたいなぁと思っていたので、お気に入りのさん喬師で実際の高座を聴くことが出来て本当に良かったです。
中入り後のクイツキは、曲ごまの三増紋之助さん。寄席で曲ごまを見るのは確か初めてと思いますが、鮮やかな裁きで次々と芸を披露されて、最後は「となりのト○ロ」を題材にした独楽の綱渡りで会場を盛り上げていました。
続いて座布団が2つ出されて、めくりが「座談会」となって、両師匠が登場。まぁ近況報告と言いますか、とにかく権太楼師が復帰されて良かったという話をされていましたが、面白かったのは、末廣亭のめくりは板になっていて、両面に芸名が書かれていますが、権太楼師の裏面は「志ん五」になっていて、病気で弱っている時に「次は俺か」と思ったとのこと。(笑っちゃいけないのでしょうが、思わず会場も爆笑)
さん喬師も自分のめくりの裏が気になって、確かめたら「雲助」になっていて、「ふ~ん雲助か」と一言いって放り投げてしまったのは面白かったです。
その後、トリが去年と同じ「文七元結」なのは何故かと言う楽屋話になって、今年は他の噺をやろうかと話をしていたのですが、最終的に両師匠によるリレー形式でやはり今年も「文七」をやろうということになり、ジャンケンでさん喬師が前半を演じ、どこでバトンタッチするかは、特に決めていないぶっつけ本番で高座が始まりました。
バトンタッチは噺のクライマックス、吾妻橋の上で左官の長兵衛が文七に50両を投げつけて「死ぬんじゃねぇぞ」と捨て台詞を吐いて立ち去る場面でしたが、台詞を言いながら楽屋に引っ込む辺りは、本当に自然な動作で観ていてほれぼれとしました。
そして入れ替わりに権太楼師が登場。さん喬師の流れを上手く引き継いで、入れ替わっても全く違和感がなく噺の世界に入り、終盤の大団円まで噺を運びました。
最後は出演者全員(お弟子さんも含めて)が高座に姿を現し、観客と一緒に手締めをしてお開きになりました。
今年初めて二人会を聴きましたが、こりゃ来年も何時間並んでも構わないから聴きに行こうと強く決心をしたくらい、本当に観応え・聴き応えのある会で、近頃感じ無かった満足な気分に満たされて家路に就きました。
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