黒門亭 第1891回2012/03/31 19:06

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ホワイトボード posted by (C)Yongyi

昨年の秋に武蔵野プレイスで開催した「ファミリー落語会」で、「鉄の男」を演じていただいた柳家小ゑん師に、「鉄道オタクを扱った落語は他にもあるんですか?」と伺ったところ、「恨みの碓氷峠」と言うネタがあるとの聞き、一般人よりも多少(?)「鉄分」が多い私としては、是非聴いてみたいと思い続けていましたら、(社)落語協会黒門亭のサイトに、小ゑん師のトリで演題が「恨みの碓氷峠」と告知されていたので、こりゃ願ってもないチャンス、万難を排して聴きに行かねばと言うことで、春の嵐が吹きすさぶ中、上野の黒門亭へ出かけてきました。

黒門亭 1891回

ー開口一番ー
 三遊亭 ございます 「テロ弁当」

 柳家 小三太 「万病円」
 橘家 半蔵 「祇園祭」
ー仲入りー
 春風亭 朝也 「四段目」
 柳家 小ゑん 「恨みの碓氷峠」

開口一番は、前座の「ございます」さん。いつもなら生演奏のお囃子にのって噺家さんが登場するのに、CDの音声だったのでおかしいな?と思っていたら、ございますさん曰く、黒門亭近くの鈴本演芸場を担当しているお囃子さんが、強風で交通機関に遅れが出た影響で、まだ寄席に到着していないので、急遽黒門亭のお囃子さんに鈴本演芸場へ行ってもらったとのこと。

また、前座さんに続いて登場する予定の二ツ目の春風亭朝也さんに代わって、柳家小三太師が登場。やはり強風の影響で、鈴本演芸場に出演予定の前座さんが到着していないため、急遽朝也さんに鈴本演芸場へ行ってもらい、戻って来るまでの間、出演者の順番を入れ替えてやりくりするとのこと。現場もなかなか大変ですな。

それはともかく、今回お初見の小三太師。先代・人間国宝柳家小さん師匠のお弟子さんだそうですが、トリの小ゑん師が「柳家の最終兵器」と語っていた通り、いろんな意味ですごい噺家さんでした。

仲入りの間に、お囃子さん・朝也さんが戻って来て、出番が入れ替わった事の顛末を紹介。マクラで芝居好きの話が出てきたので、「七段目」かな?と思ったら、小僧さんが登場して「四段目」。

朝也さんは以前どこかで聴いたことがあるかな?と思い、帰宅後ネタ帳をひっくり返してみましたが、どうやらお初見だったようですが、なかなか声もよく通り芝居の形も良かったと思います。師匠の一朝師のお弟子さんだそうですが、先日真打に昇進されたばかりの一之輔師に続く有望株かも知れません。

さて、トリはお目当ての小ゑん師。マクラはお馴染みの秋葉原を熱く語る話ではなく、先に登場した弟弟子の小三太師にまつわる話を紹介。この時点でかなりお客さんの心をグッと引き寄せていました。

で、いよいよお楽しみの「恨みの碓氷峠」。いきなりTVの2時間ドラマ「◯◯サスペンス劇場」ばりの派手な演出で始まり、殺人の疑いが掛けられた鉄道オタクと、落語好きの警部とのやり取りが、鉄道と落語好きの私にはたまらなく面白い作品でした。

特に死亡推定時刻の容疑者の行動を確かめるため、容疑者が行っていたと言う浅草演芸ホールの出演者と演題をチェックする辺りは爆笑ものです。ネタで採り上げられた噺家さん達はいい迷惑でしょうが(^^)

これまでいくつか小ゑん師の新作落語を拝聴して来ましたが、私にとって「恨みの碓氷峠」はこれまでで最高の作品と言っても過言ではありません。満足して黒門亭を後にしました。

さて、終演後はいつもなら御徒町駅へ向かうのですが、今日は先日ニュースサイトで紹介されていた鯛焼き屋「神田達磨」の末広町店に立ち寄るため、黒門亭から真っ直ぐ南下し、「羽根付き鯛焼き」を2尾買って、秋葉原駅から電車に乗って帰宅の途につきました。

鯛焼き
鯛焼き posted by (C)Yongyi