柳亭小燕枝の会2012/03/28 23:54

柳亭小燕枝の会
柳亭小燕枝の会 posted by (C)Yongyi

確か月曜日でしたか、何の気なしにネットサーフィンをしていたところ、たまたま「柳亭小燕枝の会」なる落語会のサイトがヒットし、直近の開催が28日とあり、このところ久しく定席寄席で師匠の落語を聴いていないことや、よそ様の落語会を様子を見学して、私が所属している地元の落語会の参考にしようと、会社帰り久しぶりに湯島天神参集殿へ出かけて来ました。

湯島天神には6時少し前に到着。受付で木戸銭を払うと、本日の演目が書かれたチラシを渡されました。

チラシの下に師匠の近況報告(?)として、最近転宅(引越し)したと書いてありました。これからは寄席でお馴染みの挨拶「浅草・観音様の裏、吉原に住んでおります」が聴けなくなってしまうんですかね?

さて、予定時刻よりも15分程遅れて開演。

柳亭小燕枝の会 湯島天神参集殿

ー開口一番ー
 宝井 梅湯 「山内一豊出世の馬揃え」

 柳亭 小燕枝 「家見舞」
 柳亭 小燕枝 「長屋の花見」
-仲入り-
 柳亭 小燕枝 「頓馬の使者」(山田洋次作)

まずは講談から。こちらの会の根多帳を見てみますと、開口一番は前座さんの落語ではなく、講談をやるのが恒例になっているようです。私自身講談を生で聴くのは多分3度目くらいと思いますが、たまに聴くのもなかなか良いものです。今日は前座の宝井梅湯さんによる「山内一豊出世の馬揃え」。

山内一豊と言えば「内助の功」とよく聞きますが、いかんせん歴史・戦国武将等に疎い私は、実際どんな物語があったのかこれまで知りませんでしたが、今日聴いてようやく分かりました。(史実かどうかは別として)

梅湯さんの語り口調もリズミカルで、話にグイグイ引きこまれてあっという間に一席終わってしまいました。

講談が終わっていよいよ主役・小燕枝師の登場。

チラシには「お楽しみ」と書かれていて、何を掛けるか楽しみに聴いていると、マクラで引越しの話を始めたので「転宅」かな?とも思いましたが、これではベタ過ぎるなぁと思っていたら、二人組が兄ィの引越祝いの瓶を買いにゆく相談を始めて「家見舞」。

いつもながら師匠の江戸弁は聴いていて耳に心地良いですし、川で瓶を洗う場面では役者を気取った型も決まっていました。

寄席で観る「家見舞」の多くは、炊きたてのご飯を喉につまらせたところで、兄ィが「水を出してやんな」と言って終わるのですが、今日は本来のサゲまで演じていました。

一旦高座を降りてから再び登場。今年は寒くて桜の時期にはちょっと早かったですが、季節の噺で「長屋の花見」。流石に柳派・先代小さん師匠の弟子だけあって、自家薬籠中の噺でしょう。安心して聴くことが出来ました。

二席終わって仲入り。休憩中に主催者から缶入りのお茶やコーヒーの差し入れがあり、ちょっと嬉しいサービスでした。

「三下がり中の舞」の出囃子が流れて師匠が登場。マクラで「結婚は人生の墓場と言うなら、私は2度も墓場へ行っている」と語るなど、結婚に関する話をしてから噺へ。

「頓馬の使者」は、映画「男はつらいよ」などでお馴染みの山田洋次監督が、先代小さん師匠のために書き下ろした新作落語とのこと。帰宅後ネットで調べてみますと、最近小燕枝師はよく高座に掛けるようですし、面白いところでは「キョンキョン」こと柳家喬太郎師も演じているようですが、私は今回初めて聴きました。

作品の感想は…先に山田洋次作と知ってしまったからかも知れませんが、やはり良くも悪くも「山田監督作品」と言う感じでした。

冒頭でいきなり別れた女房が流行り病で死んでしまうと言う設定も何ですが、主人公が終始おっかなびっくり、もしくはメソメソしていて、どうも落語にありがちなカラッとして威勢のいい江戸っ子が登場せず湿気っぽい感じで、サゲも今ひとつ分かりにくくて、喜劇映画を得意とする山田監督をもってしても、落語となるとやはりこんなもんかなぁ…と感じたのが正直なところです。

小燕枝師の威勢のいいの江戸弁を楽しみに足を運んだ会ですが、(仲入り前はともかく)最後はちょっとアテが外れたかな?とは思いましたが、次回(5/18)に期待してまた出かけたいと思います。

男坂と白梅
男坂と白梅 posted by (C)Yongyi