映画と落語のはしご2011/03/13 21:47

映画「二十四の瞳」のポスター
映画「二十四の瞳」のポスター posted by (C)Yongyi

(5月13日UP)

7時45分に起床。今日は池袋・新文芸坐において開催の「追悼・高峰秀子特集」で2作品を観るため、慌ただしく8時過ぎに家を出ました。

まぁ大震災の翌々日に呑気に映画を観ると言うのも、被災地の人々の心情を考えると如何なものかと正直考えましたが、私としては出来るだけ普段通りに趣味を楽しみ、その上で自分が出来る範囲の事、例えば家庭における節電とか義援金、買い占めをしない、不要不急なドライブはしないなどで被災地を支援しようと考え、映画を観る事を選択しました。

さて追悼特集、今日は代表作とも言える「二十四の瞳」と、日本映画初の全編総天然色映画「カルメン故郷に帰る」の豪華二本立て。

前者は以前「日本映画専門チャンネル」で放送されていたのを録画したのですが、録画したっきりで全編通しで観たことがなく、後者は録画した記憶がなく、かつて銀座にあった「並木座」で観たような(どうもこの辺りの記憶がはっきりしない)程度なので、この機会にしっかりと観ておこうと言う次第。

駅へ向かう途中のコンビニで、昼食・夕食の食糧とお茶を購入して中央線に飛び乗り、9時少し過ぎに池袋に到着。既に開演を待つ人の行列が伸びていましたが、うまい具合に私が並び始めたとほぼ同時に開場し、列が動き出してすんなり入場することが出来ました。

上映前、館内放送では「大きな余震があった場合は上映を中断する」とか、交通事情を考慮してか、「夜の上映は無し」であることを繰り返しアナウンスしていて、否が応でも緊張感が伝わって来ます。

「二十四の瞳」は昭和29年の木下惠介監督作品。この年は他にも黒澤明監督の「七人の侍」や本多猪四郎監督の「ゴジラ」など、日本映画の黄金期を語る上で欠くことの出来ない名作が揃った年でもあります。

映画の内容については、今更私ごときがとやかく言うまでもありません。静かな小豆島に押し寄せる時代の流れを描いた反戦映画です。キネ旬1位も頷けますし、終戦後9年しか経過していないのに、このような作品を創り上げたと言うのも驚きです。

もう一つの「カルメンー」は、「二十四の瞳」と同じ木下監督のユーモアあふれる喜劇映画。浅間山麓の北軽井沢を舞台に、少し頭の弱いストリッパー「リリー・カルメン」が繰り広げる騒動を描いた作品で、難しいことを考えずひたすら楽しめる作品ですし、私のような「鉄分」が少し多い人間には、オープニングとラストに登場する「草軽電気鉄道」の貴重な映像が堪りません。

さて、池袋で2本映画を楽しんだ後は、急いで新宿駅に戻り、小走りに新宿末廣亭へ移動。

新宿末廣亭
新宿末廣亭 posted by (C)Yongyi

午前中の映画同様、時節柄落語を聴くと言うのは…と思いましたが、あまり自粛ムードが過ぎるのも精神的に疲れてしまうのと、友の会のチケットの有効期限が今月末で切れるので、お気に入りのさん喬師がトリの時に有効に使いたいと言う事情もあり、寄席に出かけた次第です。

末廣亭には仲入りの直前、小団治師が「長屋の花見」のサゲを話している時に入場しました。

新宿末廣亭 3月中席 3日目 昼の部

(途中から)
 柳家 小団治「長屋の花見」
ー仲入りー
 桂 ひな太郎「紙入れ」
 大瀬ゆめじうたじ 漫才(骨折の話)
 林家 種平「ぼやき酒屋」(桂三枝作)
 古今亭 志ん橋「無精床」
 鏡味仙三郎社中 太神楽
 桂 文楽「替り目」

入場してまず目についたのは、驚くほどお客さんの少なかったこと。

やはりいろいろな事情・心情があって、寄席に来られないお客さんが多いのだろうと思われます。

前から3列目の中央の席に余裕で座れましたし、いつもなら仲入りの時に行列ができるトイレにも、すんなりと入ることが出来るくらいのお客の入りでした。

昼の部で印象に残ったと言うか、ビックリしたのは、漫才の大瀬ゆめじ・うたじのコンビ。ゆめじさんがステッキをついて高座に上がってきたので、地震の影響かと思ったら、去年のクリスマス・イヴに渋谷で飲んでいて、何かの拍子に段差に躓いてひっくり返って骨折したとのことで、足にはチタンのボルトが入っているそうな。

で、一昨日の地震の時は、帰宅に際して三遊亭金八師のバイクで送ってもらったとのこと。金八師のTwitterにバイクで1人送ったと書いてあったのはこの事だったのかと納得。

夜の部になったら、ただでさえ少なかったお客さんが更に減って、下手側の桟敷席はとうとう空席。椅子席も各列に1人か2人と言った感じ。この際だからと最前列に移動してみたものの、最前列は私ともう1人がいるだけという状況。

新宿末廣亭 3月中席 3日目 夜の部

ー開口一番ー
 三遊亭 しあわせ「子ほめ」

 柳家 喬之進「金明竹」
 アサダ二世 奇術
 柳亭 左龍「家見舞」
 古今亭 菊春「初天神」
 ホンキートンク 漫才
 古今亭 志ん輔「強情灸」
 鈴々舎 馬櫻「ぞろぞろ」
 柳家 小菊 粋曲
 金原亭 馬生「干物箱」
 金原亭 伯楽「猫の皿」
ー仲入りー
 吉原 朝馬「蜘蛛駕籠」
 翁家 勝丸 太神楽
 柳亭 左楽「やかん泥」
 むかし家 今松「親子酒」
 林家 正楽 紙切り(相合い傘、東京スカイツリー、花嫁、武田信玄)
 柳家 さん喬「井戸の茶碗」

開口一番のしあわせさん。まだ楽屋入りして半年くらいかな?だいぶ緊張している様子で「子ほめ」の言い立て、「栴檀は双葉より芳しく、蛇は寸にしてその気を表す」でつっかえて、見ている方がハラハラしましたが、何とか収めてホッと一息。

夜の部は期せずして、先代馬生一門の噺家さんが揃いました。(ここに駒三師・雲助師がいれば完璧)

柳亭左楽師の「やかん泥」は、初めて聴く噺で他の噺家さんもあまり高座にあげていませんが、先代文楽師の口演がCDに残されている様です。

ヒザの正楽師の紙切り。相変わらず見事な芸で、特に武田信玄のリクエストには幟旗の「風林火山」の文字まで切り抜いたのには、客席からも驚嘆の声があがっていました。

東京スカイツリー(林家正楽師作)

トリはお目当てのさん喬師。前座時代に屑屋さんから300円もらってラーメンを食べたと言うマクラから、予想通り十八番の「井戸の茶碗」。

聴かせどころは、正直清兵衛さんが若侍と浪人の娘の仲を取り持ち成立して喜ぶ場面。最前列のため、さん喬師の力演ぶりがよく分かります。

9時丁度に終演。丁寧に演じれば40分くらいの噺を、約25分で演じていましたが、いつもながらどこを端折ったかも分からないくらい見事な高座でした。

帰宅後、翌日の通勤の準備をすると共に、計画停電の情報が次々と入ってくるため、懐中電灯の電池を準備したり、風呂の水を汲み置きしたりと夜遅くまでバタバタしていました。

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