落語三昧の一日(昼の部)2009/08/01 02:04

開演を待つ落語ファン

新宿末廣亭の八月上席は、昼の部が林家一門、夜の部が柳家一門がメインになっており、主任がそれぞれ林家正藏師匠、柳家花緑師匠と言う事で、今日は先日入会した「新宿末廣亭友の会」のチケットを使って、一日落語三昧をしようと朝早く洗濯を済ませて新宿へ。

途中伊勢丹の地下で昼のお弁当を買ってから新宿末廣亭へ行くと、既に数人の落語ファンが列を作っていたので、その後ろへ並んで待つ事に。

定刻通り11時40分に開場。先日もらい損ねた扇子を受け取って、上手側の桟敷席を確保してから幕があくまでの間昼食。

備忘録代わりに、今日の出演者と演目を書いておきます。

林家はな平 「たらちね」
 林家たこ平 「転失気」
 アサダ二世 奇術
 三遊亭丈二 「不明」(尿道結石で救急車で運ばれる話)
 林家のん平 「初天神」
 翁家勝丸 太神楽
 林家鉄平 「紀州」
 鈴々舎馬桜 「ぞろぞろ」
 笑組 漫才
 三遊亭圓丈 「寿限無(現代版)」
 柳家小袁治 「犬の目」
 三増紋之助 曲独楽
 橘家圓蔵 「火焔太鼓」
-仲入り-
 春風亭一之輔 「浮世床」
 ロケット団 漫才(山形弁で英単語を喋るネタ)
 林家種平 「ぼやき酒屋」
 春風亭一朝 「芝居の喧嘩」
 林家正楽 紙切り
 林家正蔵 「読書の時間」

新宿末廣亭の番組表では、二代目「林家三平」師匠が出演する予定だったのが、今日は小袁治師匠が代演。二代目がどんな噺をするのかを楽しみにしていただけに、これにはガッカリでした。

印象に残ったのは、圓丈師匠の寿限無。昔花王名人劇場あたりのTVで観て以来20年ぶりくらいでお姿を拝見しましたが、やはりそれ相応なり髪の毛に白いものが混じっていたりして、お歳を召したなぁと言う風貌でしたが、噺の方は現代の物を積極的に取り込む姿勢は昔と変わらず、おなじみの古典を新しい噺に作り変えて場内爆笑の渦でした。

圓蔵師匠は以前鈴本演芸場でマクラと簡単な小噺を聴いただけでしたが、今日は高座にあがるや客席からの「火焔太鼓!」のリクエストに応じたかどうかは分かりませんが、サラリと演じてしまうあたりは、さすがかつて四天王と呼ばれただけのことはあるなと今更ながら再認識しました。

さて、主任の正藏師匠を観るのも今日新宿へ出て来た目的の一つですが、以前から古典を良く勉強していると言う噂を聞いていたので、どんな噺を聞かせてくれるかと期待していましたが…。今日の演目は桂三枝師匠の創作落語「読書の時間」。

うーん「こぶ平」時代だったらまぁ良いかなとも思ったのですが、大看板を背負ってやるネタじゃないような気がして、場内は結構ウケていましたが、個人的には古典落語が聴きたかったので正直期待はずれでした。

落語三昧の一日(夜の部)2009/08/01 02:05

終演後の新宿末廣亭前と新聞社カメラマン

昼の部がどうも今ひとつ消化不良だったのに比べると、夜の部は、個人的にお気に入りのさん喬、市馬の両師匠、先日ラジオの寄席番組で初めて聞いてなかなか面白かった歌武蔵師匠、芸歴最年長者の金馬師匠、そして初体験となる花緑師匠となかなか豪華な顔ぶれでした。

柳家花いち 「狸の札」
 柳家花ん謝 「湯屋番」
 伊藤夢葉 奇術
 桃月庵白酒 「つる」
 柳家さん吉 雑談
 昭和のいる・こいる 漫才
 柳家さん喬 「天狗裁き」
 川柳川柳 「ガーコン」
 柳家小菊 俗曲
 柳亭市馬 「芋俵」
 三遊亭金馬 「麻のれん」
-仲入り-
 古今亭菊春 「変わり目」
 ひびきわたる キセル漫談
 三遊亭歌武蔵 創作落語(選挙候補者と秘書とのやりとり)
 橘家圓太郎 「たがや」
 鏡味仙三郎社中 太神楽
 柳家花緑 「二階ぞめき」

さん喬、市馬両師匠はもぅなにも言う事ないです。手放しで安心して聴いていられます。

川柳師匠、一部には熱狂的なファンがいるようですが、個人的にはちょっと苦手なタイプかな。それはともかく喜寿を過ぎてなお、お元気な師匠です。

お元気と言えばなんと言っても金馬師匠。高座にあがったとたん観客から大きな暖かい拍手に迎えられて一席を披露。楽屋へ下がる時にちょっとつまづく様子が見られましたが、以前鈴本では使用していた釈台を使用しなかったところを見ると、まだまだ足腰は達者な様子で何よりでした。

圓太郎師匠のたがや、橋の上で侍とたがやが喧嘩をする場面で、「争いごとは駄目!」と野党女性党首を突然出して来たのは、時事ネタを絡めたつもりだったのかも知れませんが、いい調子で噺が進んでいただけに、その都度流れが途切れてしまう感じでこれは蛇足だったかな。

歌武蔵師匠は、さすがにもと力士と言うだけあって本当に大きな身体には驚きです。開口一番「えーっ、ただいまの協議についてご説明申し上げます。」で観客をがっちりつかんで、時節柄でしょう選挙関連の創作落語を披露。こんどは相撲関連の噺を聴いてみたいものです。

さて、夜の部主任の花緑師匠。墓石屋の看板で姿を見た事はありますが、噺を聴くのはこれが初めて。なかなか現代風の若者でプログラムによれば翌日が38歳の誕生日だとか。

年齢といい様子といい若旦那にはピッタリ。花魁との口論や仲裁の客との複雑なやり取りを器用にこなすあたりはなかなか見もので、良いものを観させてもらった気持ちです。ついでに売店でサイン入りの新書まで買ってしまいました。

そんなこんなで、延々9時間以上新宿末廣亭に入り浸り、追い出しの太鼓と共に表に出てみると、末広通りにはこれから始まる「深夜寄席」の開場を待つ人々で大賑わい。なぜか朝日新聞のカメラマンが脚立に乗っかって盛んにシャッターを切っていました。昨今の落語ブームをネタにして何か記事でも書くのでしょうか?

さすがに長時間座敷に座って腰が痛くて、深夜寄席まではつき合えないので、人ごみをかき分けながら家路へ向かいました。