新宿末廣亭 5月中席 3日目 ― 2012/05/13 22:53

初夏の新宿末廣亭 posted by (C)Yongyi <
「新宿末廣亭友の会」のチケット、有効期限は6月末なので、6月下席の小三治師まで使わずにおこうかと思いましたが、その前に、昼の部主任:小満ん師・夜の部主任:喬太郎師と言う魅力的な組み合わせの番組があったので、ここで使うことにして、いつもの通り朝10時に伊勢丹の開店と同時に、地下の食料品売場で弁当を購入して新宿末廣亭へ。
昼の部の出演者と演目は下記の通り。
新宿末廣亭 5月中席 3日目 昼の部
ー開口一番ー
柳家 緑太 「無学者(やかん)」
柳亭 こみち 「旅行日記」
ホンキートンク 漫才
林家 久蔵 「浮世床(将棋)」
金原亭 世之介 「へっつい幽霊」
東京ガールズ 漫謡
林家 三平 漫談
柳家 はん治 「ぼやき酒屋」
ロケット団 漫才
むかし家 今松 「後生鰻」
林家 種平 「お忘れ物承り所」
林家 正楽 紙切り(相合傘、田植え、小ゑん師匠とふくろう、東京スカイツリーと富士山、末廣亭)
柳亭 左楽 「目薬」
ー仲入りー
桂 ひな太郎 「代書屋」
あした順子 漫談
桂 南喬 「初天神」
桂 文楽 「替り目」
鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家 小満ん 「笠碁」
女流噺家こみちさんの「旅行日記」、喜多八殿下や同期のろべえさんが演じる時は、宿帳を持って挨拶に来るのは宿の主人ですが、こみちさんの場合は宿の女将なんですね。
久蔵師、東京ガールズはお初見。続くいっ平は久しぶり2回目。何を掛けるかと思ったら終始雑談。それも最近結婚したのか嫁の話。
ワイドショー番組ならチャンネル変えるなりテレビ消すなり対応できるけど、お足を払って寄席まで来てののろけ話は聴きたくないね。ヘタな親父さんのモノマネもいいから、もっと真面目に芸に取り組んでほしいものです。
あした順子先生は相変わらずお達者。今日のお相手は開口一番を務めた緑太さん。
主任の小満ん師、何を掛けるか期待していたら、初めて実演で聴く「笠碁」。
小満ん師と言えば、師匠の先代文楽師のネタが中心とばかり思っていましたが、その後の師匠先代小さん師のネタも演じるんですね。これを聴けただけも昼の部は収穫でした。
しばしの休憩を挟んで夜の部。出演者と演目は下記の通り。
新宿末廣亭 5月中席 3日目 夜の部
ー開口一番ー
柳家 まめ緑 「穴子でからぬけ」
柳家 小んぶ 「家見舞」
アサダ二世 奇術
林家 木久蔵 「新聞記事」
三遊亭 吉窓 「のめる」
すず風にゃん子・金魚 漫才
林家 時蔵 「子ほめ」
林家 鉄平 「紀州」
ぺぺ桜井 ギター漫談
柳家 さん八 「小言念仏」
柳家 小さん 「親子酒」
ー仲入りー
橘家 圓太郎 「浮世床(本)」
昭和のいる・こいる 漫才
林家 しん平 漫談「フランス料理講座入門編」
柳家 小ゑん 「下町せんべい」
翁家和楽社中 太神楽
柳家 喬太郎 「抜け雀」
時蔵師の「子ほめ」。可笑しかったのは八五郎が竹さんの家で赤ん坊を探す場面。竹さんに「毛布に包まってるだろ」と言われてその通り毛布を開けたら、中から「お鉢」が出てきたところ。昼寝の爺さんと赤ん坊を間違えるが普通のパターンですが、お鉢を出すのは初めて聴きました。
夜の部は仲入り後が俄然面白かったですね。まずクイツキの圓太郎師。
マクラで外国人に日本の魅力・伝統芸能を紹介する話。落語をどう説明するかと思ったら、「古めかしい建物」に、「みんな普段着で集まって」「着物を着ている人の話を聴く」のが落語だそうです。落語は以前も聞いたことのある「浮世床(本)」。たどたどしく本を読む場面は、相変わらず面白かったです。
続くのいるこいる先生は、ベテランの味を出したしゃべくり漫才。
しん平師は以前(社)落語協会のインターネット落語会で見たことのある漫談。この師匠らしさが出ていて、サゲもユーモアが効いていて良かったです。
小ゑん師はタイトルだけは聞いたことのある初めて聴く噺で、ネットで検索してみたところ、原作は30年以上前、菊池1040という方が三遊亭圓丈師のために作ったものだそうで、それを小ゑん師がアレンジして演じているそうです。
時折挟むクスグリ(例:吾妻橋の向こうには、さん喬師匠の実家「キッチンイナバ」! (小声で)…セコな洋食屋)は、小ゑん師ならではのものと言えましょう。
せんべい屋の親父が話す江戸弁が何とも自然ないい雰囲気で、もっと親父のセリフを聴きたかったです。
太神楽の後は、お目当て・お楽しみの喬太郎師の登場。短いマクラですぐに本題に。
宿屋の夫婦が2階の客の噂をしているので、「抜け雀」か「竹の水仙」だなとはすぐに分かったのですが、「竹の水仙」は5月連休で帰省した際、落語研究会の録画を観たばかりなので出来れば「抜け雀」をと念じていたところ、願いが通じました。
喬太郎師はそれほどの数を聴いているわけではありませんが、前回の「寝床」然り、古典落語の基本はしっかり残していながら、現代的なクスグリなどの工夫をふんだんに取り入れて、幅広い年代の落語ファンを唸らせる、類まれなる噺家さんだと思います。(まぁ今さら私ごときニワカが言うことでもないですが)
この日の「抜け雀」も極端とも言える宿の女将のかかあ天下ぶりや、小心者の主人で大いに場内を沸かせたかと思うと、静かな口調で「名人・上手」についてしみじみと語りながら、そこに喬太郎師自身の心境を語って笑わせるなど、サービス精神旺盛な内容で、大いに満足して帰宅の途につきました。
ところでこの日、昼夜通じて寄席では縁起物とされる「泥棒の噺」が掛かりませんでした。こういう日もあるんですね。
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