新宿末廣亭 10月下席 7日目2012/10/27 22:51

新宿末廣亭にて
新宿末廣亭にて posted by (C)Yongyi

今月下席は、昼夜共にお家芸を受け継ぐ渋い師匠が主任を務める10日間。

顔付けも気に入ったので新宿末廣亭友の会のチケットを有効に(?)使って、久しぶりに昼夜お籠りをしました。

新宿末廣亭 10月下席 7日目 昼の部

-開口一番-
 三遊亭 ございます 「穴子でからぬけ」

 春風亭 正太郎 「反対俥」
 ぺぺ桜井 ギター漫談
 林家 彦いち 漫談
 柳家 三三 「真田小僧」
 ホンキートンク 漫才
 三遊亭 丈二 自己紹介
 柳亭 燕路 「短命」
 三遊亭 小円歌 三味線漫談と踊り(かっぽれ)
 初音家 左橋 「親子酒」
 川柳 川柳 「ガーコン」
 アサダ二世 奇術
 柳家 小さん 「家見舞」
-仲入り-
 入船亭 扇好 「のっぺらぼう」
 笑組 漫才
 金原亭 馬の助 「手紙無筆」と百面相
 金原亭 伯楽 「目黒のさんま」
 翁家 勝丸 太神楽
 柳家 小里ん 「木乃伊取り」

二ツ目の正太郎さんはお初見。

彦いち師は、土曜日なのでこのあと赤坂のTBSラジオの放送が控えているからでしょう、軽く自己紹介代わりにいつもの学校寄席の話。いつも浅い出なので、たまにはじっくり聴いてみたいものです。

久しぶりに拝見の小円歌姐さん。今日は出囃子の数々の紹介の後、寄席踊り(かっぽれ)を踊って頂きました。背が高くてスタイルが良く、動きにキレがあるので、高座に華が咲きます。

川柳師は御年82歳とか。今月の中席には上野鈴本演芸場でトリを取っていらっしゃいました。足を怪我して正座ができないとかで、釈台を使っての高座でしたが、最後には立ち上がって例の脱穀機の動作をするんですから、まだまだお元気です。高座に接して間もない頃は、チョット苦手な師匠でしたが、最近ようやく面白さが分かり始めて来た感じです。

主任の小里ん師、下手側の桟敷席に座っていた私からは、酒を飲む仕草の時に手で顔が隠れてしまうのですが、却ってその姿が先代の小さん師匠(人間国宝)を彷彿とさせてなんとも言えません。

堅物の清蔵が酒を飲むに連れて次第に豹変する様子も迫真の演技で、非常に見応えがありました。

柳家の芸を伝える小里ん師、これからも機会を見つけてじっくり噺を聴いてみたいと思う師匠の1人です。

新宿末廣亭 10月下席 7日目 夜の部

-開口一番-
 柳家 フラワー 「小町」

 月の家 鏡太 「大安売り」
 ストレート松浦 曲芸
 三遊亭 窓輝 「権兵衛狸」
 三遊亭 金也 「風呂敷」
 柳家 亀太郎 三味線漫談
 桂 扇生 「巌流島」
 柳家 小ゑん 「鉄の男」
 林家 正楽 紙切り
 桂 藤兵衛 「色事根問」
 柳家 さん喬 「替り目」
-仲入り-
 柳家 小はん 「二人旅」
 大瀬ゆめじ・うたじ 漫才
 柳亭 左楽 「目薬」
 柳家 禽太夫 「元犬」
 鏡味仙三郎社中 太神楽
 林家 正雀 「七段目」

二ツ目の鏡太さんはお初見。眼鏡をしたまま高座に上がるのは先代の月の家円鏡(現・橘家圓蔵)からのお家芸なんですかね?大柄の体格で声も太いので、相撲取りの話も似合うのですが、いかんせん眼鏡とヘアースタイルが現代的なので、なんとなく落研の学生さんかと思ってしまいます。

今売り出し中のジャグリングのストレート松浦さんもお初見。

扇生師、私の根多帳によればお初見なんですが、過去にもどこかで絶対聴いているはず。あの白髪で独特な髪型は一度見たら忘れません。演目は扇生師のシャープな雰囲気に合った若侍が登場する「巌流島」。緊張感が漂う中でのとぼけたオチが好きです。

小ゑん師は、5段階評価で★★★☆☆ また同じ噺。っと言うのは冗談ですが、落語ヲタクの批評に対して「オマエのために話をしてるんじゃねぇよ」のツッコミが個人的には非常にウケました。今日もマクラからお客さんをグッと取り込んで場内をドッと沸かせていました。

さん喬師は丁寧な時候の挨拶から始まって、ワインのテイスティングの話が始まったので、この流れだと以前も聴いた「棒鱈」かな?と思っていたら、酒飲みの話になって、初めて聴く「替り目」。

クイツキの小はん師。小咄から結構ウケてて調子が良い感じでした。

太神楽は仙三郎師がソロで大忙し。従って今日は「寄席の吉右衛門」はナシ。

トリはお目当ての正雀師。何だろう?と期待していたところ、芝居好きの話が出てきたのでもしかしたら…と思ったら「七段目」!

昭和54年の第8回NHK新人落語コンクールで最優秀賞を受賞した際の演目と言うことは知っていましたが、これまで正雀師で実演を見聴きしたことはありませんでした。

流石に歌舞伎鑑賞が趣味だけあって、以前聴いた「四段目」と同様、芝居の場面は他の噺家さんを寄せ付けないものがあると思います。

ただこの日楽屋に「ツケ」を打てる人はいなかったんでしょうか?効果音が足りなかったのがつくづく残念に感じました。

この日は9時半から深夜寄席が始まる関係もあって、9時少し前に終演。賑やかな新宿通りを通って帰宅の途につきました。

(追記)インターネットで配信されている正雀師匠の七段目を見ると「ツケ」はないので、もしかしたら師匠の解釈なのかも?今度お会いした時にお話を伺ってみたいと思います。